ピエゾ(パッシブ)で同期ビープを鳴らす:回路図(ASCII)と実装案(実際に組んでないのであくまで案)

ピエゾ同期(頭出し)設計:回路図つき
目的:複数カメラ同期用に「確実に録れる」ビープを鳴らす。民生マイクの高域減衰を考慮し、 2〜4kHz帯を想定。
ここでは“パッシブ圧電素子”(PWMで鳴らすタイプ)を前提に、音量重視で回路を3案検討する。

0. 前提(安全・壊れない設計の注意点)

  • 圧電は電気的には ほぼコンデンサ負荷。急峻なスイッチングは電流スパイクが出る。
  • MCUのGPIO直結で鳴ることもあるが、音量が足りない/GPIOに優しくないので基本はドライバを挟む
  • 「同期」が目的なら、音量>音質。矩形波でOK。

1) 最小構成(片側駆動):N-MOSFET ローサイド


   +V (3.3V / 5V)
       |
      [PZ]  圧電素子(パッシブ)
       |
       +--------------------+
       |                    |
      DRAIN                (※PZは極性なしが多い)
     Q1: N-MOSFET
      SOURCE
       |
      GND

MCU PWM ----[Rgate 100Ω]---- GATE
                 |
               [Rpd 100k]
                 |
                GND
  • メリット:簡単、部品少。
  • デメリット:片側駆動なので音量は中程度。VCCが低いと遠距離カメラに入らないことがある。
  • 部品の目安:
    • Q1: 2N7002 / AO3400 / IRLML6344 等(ロジックレベルでONするやつ)
    • Rgate: 47〜220Ω(リンギング抑制)
    • Rpd: 47k〜200k(電源投入時にゲート浮かせない)

2) 音量強化(差動駆動):2本PWM(逆相)+ 2トランジスタ

同期用途のおすすめか?:同じVCCでも“実効振幅”が増え、音が前に出る。民生マイク相手に勝ちやすい。

         +V (3.3V/5V)
          |
       QH1 P-MOSFET (またはPNP)
          |
MCU PWM_A-|>G   D--+----[PZ]----+--D   QH2 P-MOSFET
             S     |            |     S
                   |            |
                  GND          GND
             (下側はN-MOSで引く構成でも可)

実装の考え方:
- PZの左右を「逆相」で振る(A=Hのとき左が+V/右がGND、A=Lのとき逆)
- 結果:片側駆動より電圧差が大きい ≒ 音量UP

上は概念図。実装は「P-MOS + N-MOS のコンプリメンタ2段(Hブリッジ風)」にすると分かりやすい。 ただしP-MOSをGPIO直で駆動する場合はゲート電圧条件に注意(VCC=5Vで3.3V GPIOなど)。

  • 実務的にラクな構成:HブリッジドライバIC(次の案3)を使う。
  • GPIOが2本必要:PWM_AとPWM_B(180°反転)
  • 注意:同時ON(貫通電流)を避けるため、ドライバ/実装でデッドタイムが必要な場合がある。

3) いちばん現場向け(おすすめ):HブリッジICで差動駆動


            +Vmot (3.3V〜5V)
                 |
           +----------------+
MCU IN1 ---| IN1        OUT1|----+ 
MCU IN2 ---| IN2        OUT2|----+----[PZ]----+
MCU EN  ---| EN         GND |-------------+    |
           +----------------+             |    |
                                          GND  |
                                               |
                                              (PZ)
  • 例:TB6612FNG / DRV8833 / MX1508 等(小型モータ用でOK。圧電は軽い負荷)
  • メリット:差動駆動が簡単。音量が出る。実装が安定。
  • デメリット:ICが増える。

IN1/IN2に逆相(または片側PWM + 反対側固定)を入れてPZ両端を振る。 ENでビープのON/OFFゲートもできる。

4) さらに音量が必要なら(高電圧駆動)

注意:高電圧圧電ドライバ(12〜24V、もっと上も)を使うと音圧は稼げるが、 取り回し・安全・EMIが一気に難しくなる。同期用途ではまず(3)までで勝てることが多い。

5) “アクティブブザー”の回路図(おまけ:単音固定でいいなら最強に楽)


+V (3.3/5V) ----[BZ active]---- DRAIN Q1(N-MOS) SOURCE ---- GND
                     |
                 (発振回路内蔵)

MCU GPIO ----[Rgate 100Ω]---- GATE
                 |
               [Rpd 100k]
                 |
                GND
  • GPIOでON/OFFするだけ。周波数探索も不要(固定音)。
  • ただし「環境音と被る」「録れにくい周波数だった」が起きたら詰む。

6) 同期用途の推奨実装案(結論)

  • 周波数:まず2〜4kHz(例:3kHz)
  • パターン:200ms×3回(間隔 200ms / 600msなどクセを付ける)
  • 回路:音量が足りない可能性があるなら案3(HブリッジIC)で差動駆動
  • 検出:2〜4kHz帯域エネルギーでビープ時刻を取り、ffmpeg -ssで頭出し

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