私たちは、過去数十年における研究や経験をもとに、「目的のものを監視する技術」のご提供と、「監視結果に基づいて判断する応用技術」のご提供を行っております。
私たちが掲げている「知のスパイラルによる人の手の軽減」とは、働き蜂が弧を描くように色々な情報を能動的に情報を集め、悩み、仮説を作り、それを繰り返すことで収束・終息させたいと考えます。
「知のスパイラルの適用」は大げさな装置や高価な機材を使わず、小さな蜂が振舞うように小型の端末(エッジコンピュータやスマートフォン)が情報を収集・判断し、簡易に即座に楽に物事を判断できるようになります。
現在我々は、建設・土木・製造業・エネルギーに機器やソフトウェアを提供しております。これらの産業はもちろん、他の産業や個人に向けても、社会的な悩みに知のスパイラルを通した解決案をこれからも提案し続けます。

一部テーマのご紹介です。

1: エラーの撲滅

世の中に存在する暗黙的課題は、インシデントという形で顕在化しない限りリスクとして残ってしまいます。そして、発生原因が明確でない課題は打ち手を見出すことが困難です。そのため、暗黙的課題の解決には、日々の状況の記録と問題発生時の対処のための仮説が非常に重要になってきます。

BeeKnowledgeはそのような仮説に対し、「過去の出来事を記録し、あとからその事前・事後情報を振り返ること」を簡易な装置で実現し、直前でインシデント化することを止めることを目標とします。

「過去の出来事を記録し、あとからその事前・事後情報を振り返ること」は、環境情報をはじめとした多様なデータを記録・分析し現実世界に気づきをフィードバックできることです。情報分析の材料をスピーディーに発見し手段を提供し、今までわからなかったことを解決する道標となります。下の図は課題となるエラーに対して、知を通した改善案を検討します。ただし、それは単にルールを追加しただけで撲滅には遠い道のりになります。

知の循環による、問題解決のスパイラル

課題に対して、解決の仮説を現場知を使って組み上げましょう。(ブレインストーミングをお勧めします。)

わかりやすくするために、ここでは決められたルールからの逸脱を例題にしましょう。

ルールが簡単に破られる理由は様々です。それをルールで止め用途することは簡単ですが、最も重要なことはその原因です。思い当たることはありませんか。そうですそれが根本原因のひとつです。解決策は仮説を立てて、それを察知・止めることです。しかし、容易にはその根本原因にはたどり着けません。そこで、仮説検証をスパイラル的に仮説検証を繰り返し、問題解決に努めることが必要になります。下の漫画は仮説検証の例になります。

しかし、これは根気のいる作業です。

BeeKnowledgeシステム運用
BeeKnowledgeシステム利用例

2: ヒューマンエラー

そもそもエラーはどうして起きるのでしょうか。弊社では過去数年で起きた製造業や建設業の事故の分類を行いました。そこには大きな疑問(熟練・非熟練に相関性が無い。とルール無視が多すぎる。)が隠されていたからです。

それを解き明かしてくれたのが、2016年に出会った一冊の図書でした。

ジェームス・リーズンは著書「ヒューマンエラー」でエラーのパターンをスリップ、ラプスとミステイクの3つに分類しました。

安全衛生基準ルールをいくら定めても、結局のところ、エラーは再現されてしまう。また、未知なエラーや意図的なエラーも存在し、撲滅は困難であることが説明されています。なぜ、このような話をここで紹介しているかというと、1990年に出版された図書が2014年に再翻訳されて、いまだにヒューマンエラーの学問書(これはものや概念のエラーにも当てはまります。)として販売され続け、解決の決定打は無いとされています。その理由は以下のエラー発生パターンで説かれています。

①  スリップ

わかっていても犯してしまいがちなエラー「やっちゃった!」無意識化の失敗「あれっ?」というもの。誰もがこれがエラーの発生源と思っているもの。疲れや不注意から来るもので再現性は高い。

②  ラプス

経験値が邪魔をしてルールから外れてしまうもの。「こっちがいいや!」というもの。これはエキスパートが起こしがちなエラーで、プライドが高い。また、習熟的に行われることであれば再発しやすい課題。

③  ミステイク

そもそもの計画が間違っているため起きてしまうエラー「想定外」と呼ばれる机上や会議室で決められがちなエラー。ここでは、それぞれについて、想定される問題解決のフローを記述します。

これらのエラーをすべて解決するためには知動と反復スパイラルの概念をもとに解決する必要があります。

形式知による問題解決と暗黙知の抽出の考え方

3: ヒューマンエラーに着目する安全衛生逸脱要因の発見・排除

工場や維持管理の現場ではまだまだ自動化のできない、人に依存する作業現場が山ほど存在します。このような場所でエラーが起きると、無理無駄の発生が起こり、生産性にも影響します。

  • ピッキング
  • 組付け作業
  • 突発的な対応を求められえるメンテナンス作業等です。

下のフローを参照してください。形式知の情報(こんな事故あったよね)をもとに逸脱行為の発見をBeeクライアントで行います。Beeクライアントを適切に運用できれば、スリップとラプスがこれで確実に止まります。また、右への分岐では暗黙的な活動はアクティブに記録情報をもとに特定行動を抽出します。これは仮説、例えばヒヤリハット体験をもとにした、目で見て取れる危険を判断子としてBeeクライアントに命じておけば、危険を予見できる可能性を検討できます。例えばピッキング作業において決められていない方向への手先の移動を判断、通知するといったことができます。それ以外の例としては

  • 間違ったモノに触れる
  • ルール以外の危険エリアへの侵入
  • 触れたものがルールから逸脱する。(例えば箱に入れるはずのものが廃棄された状態になった)が抽出できます。
  • 二人の作業を一人で行おうとする
  • 決められた姿勢や手の運びを端折って行おうとする

このように写真や動画から問題、課題状態を採取する方法を使って、AIによる推論にてエラーを防ぐことを目指します。

但し、本当の狙いはここではありません。下のフローはまだ書きかけですが、スリップ・ラプスだけでなく、ミステイク≒UNKNOWNを解くための準備の位置づけで描かれています。これだけでは不十分ですが、スパイラルが機能すれば、雲で表現されているルール(背景としての文化や圧力)にリーチできる可能性は大と考えます。

本内容に関して、共に考えたいと思われる方々、遠慮なくご相談ください