YouTubeに360°動画をアップロードする手順
360°動画は、視聴者に臨場感溢れる体験を提供できる強力なコンテンツ形式です。ここでは、パソコンからYouTubeに360°動画をアップロードする具体的な方法を、ステップバイステップで解説します。初心者の方でも安心して取り組めるよう、必要なツールの準備から最終確認まで丁寧に説明します。
1. 前提条件と準備
- 360°対応のカメラ(例:Insta360、GoPro MAX、Ricoh Theta など)で撮影済みの動画
- 動画は「等角筒面図法(Equirectangular)」形式で出力
- Windows / macOS のいずれかのパソコン
- YouTubeアカウント(未登録の場合はYouTubeで作成)
- Googleアカウントでログイン済み
- Spatial Media Metadata Injector(メタデータ注入ツール)
2. 動画のエクスポート
撮影した360°映像は、まずカメラ付属ソフトや編集ソフト(Premiere Pro、DaVinci Resolveなど)で「360°」設定を有効にし、以下を確認して書き出します。
- 解像度:最大8192×4096など、対応範囲内でなるべく高解像度
- フレームレート:30fps 推奨(60fpsも可)
- コーデック:H.264 / H.265(YouTube推奨)
- ビットレート:10~50Mbps程度(高画質を維持するため)
書き出し後、動画ファイル名を分かりやすく「my360video.mp4」のようにリネームしておきましょう。
3. Spatial Media Metadata Injector の使用
YouTubeは通常の動画と360°動画を自動で判別できません。そこで動画ファイルに「360°対応」のフラグを埋め込む必要があります。以下の手順で行います。
3.1 ツールのダウンロード
- 下記URLから
Spatial Media Metadata Injector
をダウンロード。 - Windows版:GitHub Release から ZIP を取得
- macOS版:同リポジトリ内の macOS 用パッケージ
3.2 インストール不要で実行
ZIPを解凍後、Windowsの場合は spatialmedia.exe
、macOSでは spatialmedia
コマンドが利用可能です。
3.3 メタデータ注入手順
# Windows の例
spatialmedia.exe -i my360video.mp4 my360video_injected.mp4
# macOS / Linux の例
./spatialmedia -i my360video.mp4 my360video_injected.mp4
オプション -i
は「インジェクト(注入)」の意味です。成功すると、出力ファイル my360video_injected.mp4
が生成されます。
4. YouTube Studioへのアップロード
- YouTube Studio にアクセスし、右上の「動画を作成」→「動画をアップロード」をクリック。
- 「ファイルを選択」から、先ほどメタデータを注入した
my360video_injected.mp4
を選択。 - アップロードが始まると、タイトル・説明・サムネイルなどを設定可能。
- 「詳細設定」タブでカテゴリや視聴者設定を指定。
- アップロード完了後、YouTube側で360°対応処理が行われるため、完了まで数分から数十分待つ。
5. 再生確認と埋め込み
アップロード後、公開設定を「限定公開」または「公開」にしてURLを開き、360°操作ができるか確認しましょう。マウスドラッグやスマホのジャイロで視点移動が可能であれば成功です。
ブログやウェブサイトに埋め込む場合は、YouTubeの「共有」→「埋め込み」から取得した<iframe>タグを使用します。
6. よくあるトラブルシューティング
360°として認識されない
- メタデータ注入が正しく行われていない → 再度Spatial Media Metadata Injectorで加工
- 動画の解像度が等角筒面図法ではない → 編集ソフトで「360°」設定を書き出し時にONにする
画質が粗い/ブロックノイズが出る
- ビットレートを上げる(最低でも20Mbps以上)
- コーデックをH.264からH.265(HEVC)に変更
アップロードが途中で止まる
- ネットワーク環境を確認(有線LAN推奨)
- ブラウザのキャッシュクリアや別ブラウザで再試行
7. おまけ:スマホから直接撮影&アップロード
スマホアプリ(Google Cameraの「フォトスフィア」、Insta360アプリ等)を使えば、その場で360°撮影→アプリ内から直接YouTubeにシェア可能かも。(未調査)
8. まとめ
以上がYouTubeに360°動画をアップロードする基本的な流れです。最初はファイルフォーマットやメタデータの取り扱いで戸惑うかもしれませんが、一度手順を覚えれば次からはスムーズに実施できます。